支部勉強会「みんなで学ぼういちにのさん肺!!」」
12月1日(日)、福徳会館にてあったか丸支部年内最後の勉強会が行われました。
講師は看護師でもあるおはりこ療術所の片野くみ子さんにお願いをして、今年のテーマで
ある「肺」について西洋医学的な視点からお話をしていただきました。「みんなで学ぼう
いちにのさん肺!」という粋なタイトルをみんなで唱和して、とても和やかにスタートし
ました。
呼吸器の中心である「肺」のお話では、呼吸器系を構成する一連の各器官(鼻・咽頭・喉
頭・気管・気管支・肺胞等)それぞれの構造や機能・役割についても合わせて説明をしてい
ただきました。
はじめて耳にする内容が多く、例えば鼻を構成する1つである「副鼻腔」は鼻腔を囲む骨の
中にある隙間(空洞)のことですが、この空洞は頭の重さを少しでも軽くしようとする自然
の恩恵とも言われているというお話や、空気の通り道である「喉頭」には「喉頭蓋(こうと
うがい)」という蓋があり、普段は空気を通すために開いているそれが、食べ物が通る時に
は気管に入らないようにしまる仕組みになっているというお話、肺を覆っている「胸膜」
は袋状の二枚構造になっていて、その内側にごく少量の胸膜液(胸水)が入っていることで
それが潤滑油の役割をして肺の呼吸運動がスムースに行われているというお話などはとて
も面白く、人体は生きていくために本当にうまくできているのだなあと感心することばか
りでした。
特に「胸水」というとどうしてもマイナスのイメージを持ってしまいがちでしたが、誰に
でもこうしてわずかな胸水が存在していること、それが何らかの原因でうまく吸収されな
かったり産生過多になってしまうことで胸に水が溜まってしまう状態になるというのはと
ても興味深いことでした。
南先生からは胸水がたまった80代のお客様お二人にテルミーをされた際のお話があり、
どちらも筋肉が硬く、ギシギシしていたお身体がテルミーをすることでふわふわに変化し
先生曰く「若返った」という表現が大変印象的でした。
講義ではさらに代表的な肺の病気として「肺がん」「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」「肺炎
」「間質性肺疾患」「気管支喘息」を挙げていただき、その原因や症状などを実際の看護
経験を交えてお話いただきました。COPDや喘息の方は息を吸うより吐く方が辛いという
お話があり、それは気管支が狭くなるからだそうですが、吐きづらい苦しさがあるのだと
いうことも新しい気づきでした。
南先生の実技では今回この「吐く方が辛い」というポイントから、南先生が用意して下
さった資料の中に描かれている「呼息筋(こそくきん)」という吐くための筋肉の場所を確認
しながら、テルミーで温め緩ませる方法を教わりました。モデルさんには横向きになって
いただいて、呼息筋のある肋骨のあたりを大きく緩めるように火を入れたり、熱が十分に
入ったら肋骨の間に冷温器を立てめに当てていくやり方なども教わりました。また頸椎か
ら仙骨にかけて小さな蛍火で骨の上に冷温器を置いて動かしていくと呼吸が深くなるとい
う手技も実際に見ながら学ぶことができました。
臨床上では実際咳こんでいる方や、気管が過敏になっている時には煙がお顔の周辺にいか
ないように、例えばタオルの下から冷温器を当てることでタオルで煙をガードすることや
、パウダーを付ける時はポンポンさせて粉が舞わないように配慮すること、お顔からなる
べく離れたところから施術をスタートするなどの工夫が必要なことも教わりました。それ
から横になると咳が辛くなってしまったり、少し体を動かすと息切れしたり咳こんでしま
うなどの場合は座位で、服を着たまま手を入れさせていただいて背中にかけたり、仰向け
になれる場合も枕を高くしたり、うつ伏せでも胸のあたりに柔らかいものを挟んだりと、
いろいろなケースを想定したアイディアをたくさんいただきました。
お昼を挟んでからの掛け合いでは教わったことを踏まえてお互いに1時間ずつたっぷり
とテルミーを掛け合って、自分ではなかなか届かないところにも熱をたくさん入れていた
だき、やっぱり人にかけてもらうテルミーは気持ちがいいものだなあと参加された皆様の
緩んで元気になったお顔を拝見してしみじみ感じました。参加させていただきありがとう
ございました。
高野紀子